みりんというと調味料のイメージですが、江戸時代には女性が飲める「甘いお酒」として、作られていました。
みりんを飲んだことはありますか?
おいしいみりんは、甘いリキュールと言われても遜色がないくらいですよ。
甘いお酒が飲みたいな、と思ったら私もみりんを飲んでいるほどです。
そんなみりんを使ったお酒が、江戸時代から存在しているのをご存じですか?
今はあまり見られませんが「柳蔭(やなぎかげ)」「本直し」と呼ばれるお酒です。
夏に飲まれるお酒として、江戸時代から親しまれていた「柳蔭」について紹介します
柳蔭とは昔から続く米のカクテル
柳蔭とは一体どのようなお酒なのでしょうか。
柳蔭は「みりん」と「米焼酎」を合わせて作るカクテルのようなものです。
現在でも、少量ですが酒造メーカーから発売されています。
みりんはもち米から作られ、米焼酎も米から作られるので、お米のカクテルといってもいいですね。
米から作られるお酒といえば、日本酒が一般的。何が違うのでしょう。
米焼酎の精米歩合は85~90%ほどが一般的です。
日本酒にもこれくらいの精米歩合のものはありますが70%や60%、大吟醸であれば50%以下が一般的です。
また、日本酒と焼酎は製造方法が違います。
日本酒は醸造、焼酎は蒸留することによって作られます。
原料が同じでも使っている部分や、製造方法が違うのですね。
さて、柳蔭に話を戻します。
柳蔭は上方落語「青菜」にも登場する、夏の風物詩ともいえるお酒。
みりんの甘さと、焼酎のキリっとした味わいが絶妙なお酒です。
昔は、井戸で冷やしてから飲んでいたそうですね。
江戸時代からみりんが調味料として普及する、昭和初期までは高級冷酒でした。
和製カクテルの先駆け的な存在ともいえますね。
今ではあまり知られなくなったお酒ですが、昔は暑気払いのお酒として飲まれていたとのこと。
井戸で冷やしてキュッと一杯、という感じでしょうか。
柳蔭と本直しの呼び名の違いは地域
柳蔭も本直しも同じ飲み物ですが、柳蔭は関西発祥の呼び名で、本直しは江戸発祥の呼び名です。
関西では柳の陰でチビチビ楽しむお酒、というところから付けられたとの説があります。
江戸ではみりんに焼酎を入れるといった手を加えることを「直し」と言いました。
直しをすることで飲みやすくしたものを「本直し」と呼んでいたんですね。
みりんを飲む文化はあったのですが、確かにみりんは甘すぎてちょっと飲みにくいですね。
みりんそのままでも私はおいしいと思いますが、ちょっと甘ったるい感じではありますよね。呼び名としては関西の方が風情を感じます。
柳蔭のレシピを紹介
材料(冷酒杯1杯分)
・本みりん・・・大さじ1
・米焼酎・・・大さじ2
これだけです。
冷酒杯1杯分の分量ですが、みりんのアルコール度数は約14%、米焼酎は25%もあります。
下戸の私は、コップ1杯も飲みきれないと判断。このくらいにしました。
みりんは添加物が入っていない「本みりん」を、米焼酎は「本格米焼酎」がいいとのことだったので、買ってきました。
本みりんと米焼酎の割合は1:2で作りましたが、1:1から1:2の間で好みによって変化させてもいいようですよ。
材料はこちら
それぞれ計量して軽く混ぜます。
冷酒杯に注いで冷蔵庫でキンキンに冷やします。
そのまま飲んでみると、
「甘い!」そして、しっかりとしたアルコール感。
飲み口がいいので、飲みすぎてしまう危険がありますね。
味見しているうちに酔っぱらってしまいそうなお酒です。
みりんだけだと甘ったるい感じですが、焼酎が入ることでスッキリします。
確かによく冷やした方がおいしいお酒です。
そのまま飲むのはアルコールが強いと感じたので、ロックにして飲んでみました。
炭酸水で割っても、かなりおいしく飲めると思います。
香りはウイスキーのようで、味は甘いリキュールのようなお酒といったらいいでしょうか。
かなりリラックス効果が高そうなお酒です。
柳蔭のカロリーは結構高め
まず材料の100gあたりのカロリーを見てみましょう。
本みりん・・・240.9kcal
米焼酎・・・146.3kcal
です。
みりん:焼酎(1:2) | みりん:焼酎(1:1) | |
---|---|---|
1合(180cc)あたりのカロリー | 319kcal | 347kcal |
お猪口1杯(30cc)のカロリー | 53kcal | 58kcal |
日本酒1合で約185kcalですから、かなり高いカロリーになりますね。
暑気払い、ということですから夏バテを高カロリーのお酒で乗り切ったことも考えられます。
みなし製造に気をつけて!
みなし製造とは家庭で勝手にお酒を作ってはいけない、酒税法です。
果実のリキュールは家庭で飲む分には許されていますが、米を使った柳蔭はこの対象ではないため、作り置きをしてしまうと違法です。
自分が楽しむために飲む分だけ作り、その場ですぐに飲むのであれば問題ないでしょう。
しかし、おいしいからと言って一気にたくさん作っておくことは、密造酒を作り置きしているとみなされて捕まってしまうかもしれません。
気をつけてくださいね。
まとめ
みりんのカクテル柳蔭の紹介をしました。江戸時代から飲まれていた歴史あるお酒の味は甘くて飲みやすかったです。
アルコールがきついのでたくさんは飲めませんでしたが、デザートカクテルのような楽しみ方もできるなと思いました。
暑くなる季節に暑気払いとして楽しみたい、そんなお酒です。
簡単にできるので興味がありましたらぜひ試してくださいね。