どぶろくって知っていますか?
「白くてドロドロしたお酒」ということは、何となくわかるかもしれませんね。
昔は自宅でつくっていた、なんて話も聞いたことがありますが、今でも自分で作れるのでしょうか。
手作りがブームだから作ってみたい、なんていう人もいるかもしれませんね。
どぶろくは自宅で作れるのか、そもそもどぶろくとはどんなお酒なのかを解説します。
どぶろくは自宅で作れるの?
結論から言うと作れません。
作るためには「酒類製造免許」というものが必要になってきます。
いくつかルールがあるうち、最もハードルが高いのは「年間で6,000L以上の仕込みをしなくてはならない」という条件です。
6,000Lといったら一升瓶に換算すると、3,300本を越える酒蔵レベル。個人ではとても無理な話ですよね。
免許がない以上、どんなに少量でも作ること自体が違法となってしまいます。
どぶろくの作り方は?
どぶろくの基本的な材料は、米、米麹、水が基本です。
1・米を蒸す
2・冷めてから米麹をかける
3・水と酵母菌を加えて発酵させる
4・数日発酵させてできあがり
かなりざっくりした説明ですが、大体こんな感じです。
発酵させた後にさらに二次発酵させたり、火入れをして発酵を止めたりといったこともしますが、それぞれですね。
どぶろくの特徴は、「濾す(こす)」作業がないこと。
濾すと、清酒(日本酒)の扱いになります。
どぶろくはドロドロになった米も一緒に飲むので、米のうま味を楽しむことが出来るお酒ですよ。
どぶろくは日本酒ではない!
どぶろくは日本酒ではありません。
どぶろくの製造方法は前述したとおり、米を発酵させ、固形物を濾していない状態です。
日本酒の定義は「上槽」、つまり濾す工程を行うことが必須条件なのです。
「上槽」とは、発酵した後に濾し布を使って固形物と液体を分ける、最初の作業です。
ここで残った固形物が「酒粕」ですね。
どぶろくは濾す作業がないため、日本酒ではなく「その他醸造酒」という扱いです。
どぶろくが作れる場所もあるってホント?
地域の活性化をめざした「どぶろく特区」というものが存在します。
市町村単位で認定が受けられれば、自宅でどぶろくを作ってもいいよ、という地域のことです。
とはいえ、やはり条件があります。
誰でも作っていいわけではなく、酒類製造の免許を取る必要があるのです。
本来、酒類を製造するには上の章で載せたように、いくつかの条件が必要ですよね。
特区であればその条件を満たしていなくても、免許が取れるということなのです。
酒類製造免許を取るのであれば、年間6,000Lのお酒をつくる必要があります。
個人や小規模事業者では、かなり高いハードルですよね。
この壁が取り払われた場所が、「どぶろく特区」というわけです。
どぶろく特区では酒類製造販売の免許が取りやすいですが、それでも条件があります。
どぶろく特区で酒類製造免許を取るための3つの条件
1・農家や農家レストランといった農業に携わる人間であること
農家の個人や法人、農家の家族、農業の生産法人の組合員がこれにあてはまります。
2・原料は「米・米こうじ・水」もしくは「米・水・特定物品」を使い、濾さないもの
米はなんでもいいわけではなく、自分で作った米に限ります。
農家といっても、米農家であることが条件だというわけですね。
特定物品とは「麦」や「ひえ」といった、政府が決めた材料に限ります。
3・農業者名義の工場で作ること
製造場所は農業者の名義である必要があるということですね。
ほかにも細かいルールが決められていますが、大まかにいうとこの3つがどぶろく特区でどぶろくを作るための免許が取れる条件です。
特区だからといって農家でない私がその辺のお米を買ってきて、どぶろくを作ることはできない、というわけですね
どぶろく特区で免許がとれた!でもやってはいけないことがある
・どぶろくに混ぜ物をすること
米と米麹と水で作るどぶろくに、ほかの原料を混ぜるのは違法です。
米と米麹を使ったどぶろくに、麦や果物などを混ぜるのは違法ですが、米+水+決められた材料(麦やアワなど)で作るのはOKです。
・「濾す」作業をした場合
布で濾(こ)して、原料を取り除くと違法になります。
米のつぶを潰したり、加熱するのはOKです。
・自分で作っていない米を使った場合
よそからお米を買ってどぶろくを作ることはできないため、自分でお米を作る必要があります。
と、なると農家の人でないと難しいかもしれませんね。
どぶろくとにごり酒の違いは?
どぶろくは「その他醸造酒」ですが、にごり酒は「日本酒」です。
これは「上槽」、つまり濾す作業が入るかどうか、ということになります。
このことによって、どぶろくは米のツブツブが少し残ったドロドロしています。
にごり酒は米のツブツブを濾しているので、大きな固形物は残らずドロドロはしません。
にごり酒の作り方は?
どぶろくと同じ工程の後に、蒸し米に麹を入れて醪(もろみ)の状態を杜氏が見極めて、醸造アルコールなどを加えます。
そのあとに醪(もろみ)と水分を分ける「上槽(じょうそう)」という濾す作業を行います。
にごり酒は目の粗い布で濾して、澱(おり)を瓶に詰めたものです。
濾した後に残った固形物が酒粕として残ります。
この澱が入った日本酒を、にごり酒と呼んでいるわけですね。
火入れをしていないものが多く、発酵が進んでいるため、開栓したときに炭酸の勢いが強いものが多いです。
オススメのどぶろく3選
下戸でも大丈夫!低アルコールどぶろくの「山口酒造場 鶯印のどぶろく」
アルコール度数が6%と低めなので、飲みやすいどぶろくです。
できる限り手作業で作った鶯印のどぶろくは、乳酸飲料を飲んでるようなさわやかさも感じられます。
ふんわりやさしい味わい「仙醸 黒松仙醸 どぶろく」
こちらもアルコール度数が6%の低アルコールどぶろくです。
一口目で幸せを感じる、女性向けのどぶろくです。パッケージもかわいいですね。
公式ホームページでは、カルピスやジュースで割った飲み方も提案されていますよ。
辛口の昔ながらのどぶろく「宮守川上流生産組合 遠野どぶろく からくち」
遠野は日本で一番初めにどぶろく特区が誕生した場所です。
昔から親しまれていた地域のどぶろくを今ではインターネットで注文できるのですから、いい時代になったものです。
上の2つのどぶろくと違って辛口で、アルコール度数も15%あるので、日本酒が好きで飲み慣れている人も満足できるどぶろくですよ。
おススメのにごり酒3選
白川郷の伝統神事を受け継ぐ「三輪酒造 白川郷 純米にごり酒」
どぶろくは収穫の恵みに感謝して、どぶろく祭りで神様に奉納していたお酒です。このどぶろく祭りの伝統を残そうと、白川村から依頼を受けて作られたのが、純米にごり酒です。
米と甘みのバランスが絶妙で、うま味が強いにごり酒ですよ。
甘口でもさらりと飲めるにごり酒「清酒 國盛 にごり酒」
にごり酒の中では甘みが少なく、さっぱりとした印象です。
5℃前後に冷やして飲むのがおすすめです。
こたつに入りながら鍋料理と一緒に食べるとよく合いますよ。
とろりとした濃厚なコク「八鹿 にごり酒」
職人の手作業によって丁寧に粗濾しされた「八鹿にごり酒」は、濃厚でクリーミー。
氷を入れてロックで楽しむのもおすすめです。
クリームシチューや味噌煮といった、濃厚な料理にも負けないコクがあり、料理にもピッタリ合いますよ。
まとめ
どぶろくやにごり酒のことがおわかりいただけましたか?特区でも誰でも簡単にどぶろくが作れるわけではないのですよ。自分で作ってみたい人もいるかもしれませんが、今のところはやめておきましょう。もしかしたらほかの国のように、日本も自家醸造が可能になる日が来るかもしれません。その日まで楽しみに待ちましょうね。